948人が本棚に入れています
本棚に追加
/1002ページ
まどかさんが指した先、遠目に見てもカッコいい二人が滑ってくる。
「二人とも、本当にカッコいいよねぇ~!!」
「お、おい……」
まどかさんが嬉しそうに言うから、直樹さんが焦ってる。
直樹さんだって十分以上にカッコいいのに。
でも、ゲレンデを滑る二人…本当にサマになってるなぁ。
健太郎さんが急に止まった。
隆也さんも止まる。
健太郎さんが少し斜面を上っていく。端にいた二人連れの女子に声を掛けられたみたいだ。
……健太郎さん、どうするかな…
何か喋って…こっちを指差して…片手を上げて、滑って来る。
隆也さんはその間ずっと他の方を向いていた。
二人が近づいてきた。
「あれぇ!?集合時間だった?」
健太郎さんが聞いた。直樹さんが笑う。
「いいや。なんかみんな集まっちゃった。」
「岡野!お前ナンパされたのか!?」
沖田さんが羨ましそうに言った。
「あ?あぁ、今の?ダメダメ!!」
「連れてきちゃえば良かったのに!!」
但さんが不満を口にする。
健太郎さんは知らんぷりで真っ直ぐ私の側に来た。両手で私の頬をつまんで…
「にゃ~!!上手くなったか?」
と、笑った。
「もうっ!!健太郎さん、ヒトの顔で遊ばないでください!!」
私は頬から健太郎さんの手を離して口を尖らせる。
隆也さんが社長と話をしながら、チラッと私を見た。
「直樹、悪いけど宿に迎え頼んでもらえるか?僕と幸枝さんはもうクタクタだよ。」
「了解です!他に帰るヤツ!?」
全員が手を上げた。笑いが起きる。
「早く帰って飲んだくれよう!!」
雄一さんが言った。
宿に戻ると、私たちはロビーで待つようにフロントで言われた。
直樹さんだけ呼ばれて、支配人とヒソヒソ話をしている。
「どうしたんだ?」
「何かあったのかなぁ?」
沖田さんと但さんが何だかわざとらしく言う。
私たち女性陣は、エントランスから一番近いソファに座らされていた。
「……奥さん、向こう…凄く素敵な眺め。」
私は、ロビーの奥、つまり私たちの席から一番遠くを指差した。奥さんとまどかさん、ジェシカも振り向く。
最初のコメントを投稿しよう!