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私が処刑された日は穏やかな青空が
広がっている日だった。
私は城の牢屋で穏やかなこの空を呪った
私が死ぬときが晴天だなんて
神様はいじわるなお人なのね、
そう思ったときだった。
「ふふっ」
牢屋の外から女の笑い声が聞こえた。
目をやるとそこにはキレイな金髪を銀の髪どめて綺麗に結わえた青い目の
美しい女がいた。
このかたか....
私はすぐさまこの女があの夜の女だとすぐ察知した。
わたしは表情を変えることもなく
黙って女を見つめた。
「かわいそうに、アルスに裏切られるなんて思いもしなかったでしょ?
教えてあげるわ。彼はあなたなんか愛してなかったのよ」
女はキレイに笑っていた。
私が何も知らないと思っているのだろう。
「....知ってるわ。王様が私を愛してないことも、あなたを愛していたことも
全部知っていたわ。」
「....知っていてあなた何も言わなかったワケ?」
「そうよ」
わたしはただ無表情で答えた
知っていた。それでもお慕いすることも努力することも支えることさえも私は止めなかった。
「愛されなくても王妃という座があればよかったってとこかしら?」
イヤな女ねとでも言いたそうに女は笑った
「愛されたいからお慕いしたわけではないわ。私が愛しているから愛が返ってこなくともお慕いしてたのよ。
王妃の座なんてどうでもいいわ」
「そんな見え透いた嘘を」
「あなたに嘘をいってどうするの?」
女は信じられないという顔をしていた。
「処刑なんてしなくても言ってくれればよかったのにね」
王妃の座から降りろと言われれば私は降りただろう。
それを王様が望むなら。
「...どのみちあなたは今日、処刑され死に私が王妃になるのよ。今更どうにもなりはしないわ!」
なにをそんなにヒステリックになっているのかよくわからない。
「そうね。王様をよろしくお願いします。あの人は少し無理をしすぎるところがあるから...」
わたしは女から目を外した。
「はあ?何を言っているの??」
「王様はなんでも完璧のように見えますがそうではありません。
だからしっかり支えてあげてほしいのです。」
「バカじゃないの!?アルスを奪った私に助言するなんて!!!」
意味が分からない!!!
そう言って女は出ていってしまった。
忙しいかたね。そう思って空を仰ぎなおした。
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