162人が本棚に入れています
本棚に追加
そう、それはとても雷がひどい雨の夜だった。
私は王様のお帰りをお待ちしていて、途中で居眠りをしてしまっていたところを雷の音で目が覚めた。
「ああ。わたくしったら居眠りしてしまったのね...。」
ふっ、と時計を見ると既に日付がとっくに変わっている時刻だった。
それなのに、王様が帰ってきていないことに疑問がくすぶった。
「王様はまだ仕事をしていらっしゃるというの...?」
そんなことはないはずだ。
密かに育てているハーブも気になることだし、ついでに王様のご様子も伺おうと私は公務室へむかった。
私は公務室までたどり着き、
静かにノックし部屋に入った。
「失礼します...王様...?」
部屋は明かりがついているものの、誰もいなかった。
私は王様がいつもお仕事されている机に近づく。
「お仕事は終わられているのね...。」
では、なぜ帰ってこないのだろうか。
私は王様に何かあったのかと心配になった時だった。
「...。...、...っ!」
何か物音が聞こえることに気がついた。
音をたどっていくと公務室に備えられている仮眠室からだった。
そこから聞こえてきた音は、王様のものだけではなかったのだ。
「あぁっん!アルス様ぁ!もっとぉ!」
「くっ、もっと乱れろ俺のフィオラ...」
男女の喘ぎ声、耳を塞ぎたくなるイヤらしい水音...。
何をしているかなんて私にだって分かる。
な ん で
私は頭が真っ白になりその場が動けなくなってしまった。
「フィオラっ!中に出すぞっ!」
「あひぃっ!赤ちゃんれきちゃうぅ!」
「孕め!俺の子を孕めばあのバカな女を引きずり下ろしてお前を正妻にしてやるよっ!」
「ああっ!うれひぃっンァッ!!」
バ カ な 女 を 引 き ず り 下 ろ す ?
私 は 愛 さ れ て な か っ た ?
う そ だ
もはや、ショックでこのばを離れることさえ頭に浮かばなかった。
誰かウソだと言って。
最初のコメントを投稿しよう!