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「-...!.....様!?クレア王妃様!!」
「...?」
「お倒れになったので私がお運びしました。大丈夫ですか...?」
気づけば、私はもといた部屋に戻ってきていた。
「私は...?」
夢....?だったの...?
「っ...!!王妃様っ!!
申し訳ございませんっ!!!」
その声で、私はようやく近くに王様の側近であるジン・キルバスがいることに気がついた。
彼は私が座るベッドのフチの側で泣きそうな顔でひざまづいていた。
「...きる...ばす殿...」
「貴方に涙を流させるつもりは...っ!!」
なみだ...?
また、私はそこでようやく泣いていることに気がついた。
「私...泣いていたのね...」
「王妃様のお言葉が気になり、お調べしたにも関わらずご報告が...!」
「分かっております。
私のために黙っていたのでしょう?
咎めなどいたしません。」
彼は表情は乏しいが、内に秘める心はとても情の熱いお方だった。
今ある現状が彼が企んだものではなく、彼の心遣いであることは私は確かに理解していた。
「ですが...っ、私が至らぬが原因で王様はあのようなことをなさっているのです.....!!私に全ての責任がっ...」
「いいえ、全てはわたくしの責任です」
王様は わたくしを 愛しては なかった
わたくしの愛は 必要なかった
泣きそうに微笑む私に彼は苦しそうな顔を浮かべ、私の手をとった。
「貴方の責任であるものか..っ!
私は知っています!!王のために努力なさっていたことを!王のことを思い尽くしていたことを!!
それを...っ、あの方が知ろうともしないっ...!」
っ...!!!
「やめてっ!」
私は彼の手を振り払い、顔を手で覆う。
もはや、王様への思いと、裏切りへの悲しみでどうしたらいいか分からなくなっていた。
「お願い...っ、もう、ひとりにして...っ」
彼の言葉で、今更ながらに理解してしまった。
王様が私を愛してないことを。
王様が他の女を愛していることを。
私の努力が、思いが無駄だったことを。
私がこの国を豊かにするためだけの生け贄だったことを。
「王妃様!私は...っ!!」
「っ!出ていって...っ!!!」
「...っ、申し訳..ござ、いません...」
しばらくして静かに扉が閉まるおとがした。
「ああぁぁぁぁっっっ!!!」
扉が閉まる音ともに、私は泣き崩れたのだった。
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