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私は一晩中泣きはらし翌日は
体調が優れないと部屋に引きこもった。
私には心を整理する時間が必要だった。
そしてその明くる日、
コンコン
ノックとともに入ってきたのは
キルバス殿であった。
「失礼します...王妃様 体調のほうは
大丈夫でございますか?」
彼は泣きそうな顔でおずおずとたずねた。
ああ、彼は心の底から心配してくださっているのだと感じた。
「はい、ご心配おかけいたしました。」
私は彼に笑顔を向けた。
「王妃様...」
ムリして笑わないで下さい
そう言いたいのだろう。
私は彼の堅実さに苦笑し、窓の外を見つめた。あの夜から、曇天が続いていた。
「ふふ。よいのです。私は変わらずにいることを心に決めました。
わたくしは変わらず王様をお慕いし、サポートをつづけます。」
振り向いていただけなくても。
ツンと残る痛みとともに言葉を飲み込んだ。
「あなたは....-いだ。」
「え?」
キルバスは呟いたが私の耳に届かず聞き返そうとした、がキルバスは膝まずき続けた。
「わたくしもお手伝いさせていただきます。」
顔をあげた彼の真剣な眼差しが私に向けられた。
その眼差しが別の想いを含んでいたなど私は気づかず微笑んだ。
「頼りにしています、キルバス殿」
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