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足早に進み、路地に入って、雑居ビルの狭いエレベーターに乗り込む。
二階に着き、【桃源郷】の扉を開くと、手の中の袋と同じ匂いがした。
「あら、被った? 隼人君が用意してあげてって、電話くれたのよ~」
チャイナドレスに金髪のカツラをつけた聖子が、笑顔で言った。
店内に客は見当たらず、竹山は、顔をしかめてカウンターの奥に座る。
「聖子さんの声を聞いてると楽しくなってきますねって、言ってくれたのよ~」
浮かれている顔に、「酒出せ」と竹山が言った。
がさりと、同じ袋を横の椅子に置き、カウンターにあったよっつのパックを取り出す。
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