第3話 アイドルの秘密 5

7/35
前へ
/35ページ
次へ
足早に進み、路地に入って、雑居ビルの狭いエレベーターに乗り込む。 二階に着き、【桃源郷】の扉を開くと、手の中の袋と同じ匂いがした。 「あら、被った? 隼人君が用意してあげてって、電話くれたのよ~」 チャイナドレスに金髪のカツラをつけた聖子が、笑顔で言った。 店内に客は見当たらず、竹山は、顔をしかめてカウンターの奥に座る。 「聖子さんの声を聞いてると楽しくなってきますねって、言ってくれたのよ~」 浮かれている顔に、「酒出せ」と竹山が言った。 がさりと、同じ袋を横の椅子に置き、カウンターにあったよっつのパックを取り出す。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加