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 9月10日 木曜日  その日もいつもと変わらない、普通の1日だった。  いつも通り学校に登校して、いつも通り授業を終えて、いつも通り帰り支度を始めた。 「高瀬、今日帰りにカラオケ行かね?」  クラスメートの中杉が、終了のチャイムと同時に声を掛けて来た。 「………ごめん、今月は金無いんだ」  そう告げた僕に対し、中杉は申し訳なさそうに返してきた。 「………そっか、仕方ないよな。誘って悪かったな」  言って、中杉はそそくさと他のクラスメートのところへ去って行った。  こういう時、謝られるのが一番惨めになる。奢ってもらおうなどとは微塵も思わないが、憐れみの目で見られることがどれほど堪えるか、中杉にはわからないのだろう。  そんな中杉は、男女かまわず誘っている。夏休み気分が抜けきれていないのか、誘われた連中のほとんどが行くようだ。  もちろん、お金さえあれば僕も行きたい。だが、家庭の環境が変わり、財政が切迫している今、そんな余裕は家には無い。  当然バイトはしているが、高校生が稼げる金額などたかが知れている。  学費免除申請もしたが、僕の今の学力では到底無理だった。  
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