凍えた身体には甘い痺れを

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  ──自分の意地とプライド、 粉砕したい。 しがみついてきて、 ぐずぐずになって泣いて、 懇願の目で俺を 見上げてくるくせに、 半ば意地のような頑なさで “欲しい”と言わない志緒。 こっちもつい意地になって、 じゃあ指だけで イッちまえ……だなんて。 ……大人げないにもほどがある。 ぐっしょりと濡れた 自分の手のひらを見て、 叫び出したくなってしまった。 志緒の中に指を沈めて、 痛めつけないように、 それでも抗えないほどに かき回している時は、 すべてが熱かったのに。 志緒から手を離した途端、 無情にもあっという間に 冷えていく。 余韻もくそもない。 .
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