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そしてふと時計が目に入り、深夜0時を過ぎて日付が変わっていることに気付く。
「おっと、もう日付が変わっちゃってるなぁ。てことはアキのお願いは聞けないなぁ。あぁー残念。」
わざとらしくそう言うと、アキは悔しそうに顔をしかめて引き下がる、と思った。
しかしアキは何かを思い出したような表情をしてニヤッと笑う。
そんなアキの笑顔に俺は嫌な予感がした。
「そういえばさ、俺カナに何でも命令できる権利持ってたよな?」
アキに言葉に、今度はこっちが詰まる。
まさかここで鬼ごっこの賞品の話が出るとは……!!
「ほら、カナ命令な?」
「……ぐぐぐ。」
◇◇◇
逃げ切ることが出来なかった俺はアキに抱き込まれる形でアキのベッドに入っていた。
「なんだよー、やっぱり引っ付かなきゃダメなくらい狭いじゃんかよー。」
俺は抱き込まれたままブツブツ文句を言い、後ろからはアキの抑えたような笑い声が聞こえる。
アキに背を向けているため顔は見えないが、心底楽しそうな顔をしてるだろうと、笑い声から容易に想像することが出来た。
「ほら、文句ばっかり言ってないでさっさと寝るぞ?」
アキは更に俺を抱き寄せ、耳元でそう囁き、俺はビクリと身体を大きく震わせた。
「んひゃっ!……アキ!!俺が耳が弱いの知っててやってるだろ!?」
「当然。カナのことなら昔っから知ってるぞ?」
「んぁっ…だから、それやめろって……。」
再び耳元で囁かれて、今度はアキの方を振り返って睨みながら抗議する。
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