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そんな他愛のない会話をしていると始業を知らせるチャイムが鳴り響き、ていちゃんが教室に入ってきた。
ていちゃんの姿を確認すると棗は俺の前の席から立ち上がり、俺に軽く手を振って自分の席に戻っていった。
「ほら、HR始めるぞー。」
ていちゃんのやる気のない声が響き、俺はそれを少し遠い頭で聞きながら、1日の始まりを感じていた。
◇◇◇
特に大きな問題も起こることなく1日は終了し、すっかり終業のHRの時間となっていた。
俺はいつも通り適当に授業を受け、休み時間は棗と政宗と話して過ごし、お昼も3人で学食に行って、いつも通りの1日を過ごしていた。
ただいつもと違う点といえば、同じ場所にアキがいないこと。
俺の隣が少し寂しいことくらいだ。
そういえば、ていちゃんにちゃんと確認を取ったところ、棗の言う通り俺は体育祭で3種目に出場し、優勝クラスの副賞は学食半年無料で間違いないらしい。
昨日その話を聞いてはいたが、やはり改めて話を聞くと俄然やる気が出てきて、いつもはやる気のない俺だが、主夫魂がメラメラと燃え上がるのを感じた。
しかもていちゃんに体育祭の話を振ったら、ここぞとばかりにクラスの応援団長まで押し付けられてしまった。
面倒だが……無料券のためだ。やむなし。
そんな感じで俺が1人で燃え上がっている間にHRは終了しており、俺の机の前では棗と政宗が「なに1人でにやにやしてるんだ。」と言わんばかりの表情で俺を見下ろしていた。
「ほらカナちゃん帰るでー。」
「あっ、生徒会のは今日はいいのかよ?」
思い出したように尋ねてくる政宗に、俺はニヤッと笑ってピースしてみせる。
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