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杏梨「うわ、なっなに?」
鹿之助「どうやら始まった様だな」
少年はそう言いながら、爆音がした方向の校舎に、目を向ける。
千絵「そうね。もう皆ほとんどが終わった頃だし」
千絵もまた鹿之助と同じく、校舎に目を向けていた。
千絵「杏梨、鹿之助。ちょろっと離れるわよ」
見れば辺りの生徒が大急ぎで慌てる様にこの場から離れ始める。
茶髪の少女はまだ、戸惑っているかの様に慌てていた。
鹿之助「この学園、いやこの都市最強の能力者『無冠の七将』の一人、"草壁香央理"(くさかべかおり)」
千絵「噂じゃあ、五つの能力を行使する事ができるって話でしょう?さすがは『コード:10』の能力者よね」
また、ゴドン!!と爆音がし、間に校舎を挟んでいるはずなのに、水滴が細かい霧のように三人の火照った頬に当たる。
体の熱が、急速に奪われていく。
盛大な爆破によってプールの水がここまで飛んできたのだ。
普通はプールで能力テストなどはしないのだが、そのあまりの破壊力から通側の測定方法が使えないらしい。
なので、専用の特殊時間割りを学校側に用意させ、プールに溜めた膨大な水を使って威力を削りながら測定をしている。
そうしないと、測定機械ごと校舎を全壊しかねないからだ。
杏梨「すごい」
思わず一人言の様に、杏梨は呟く。
そして声と同時に、応えるようにもう一度爆撃音が炸裂した。
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