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5.
整った顔立ちをした少年、殿谷鹿之助は校門でとある二人の少女を待っていた。
鹿之助「にしても、本当に今日は久し振りだよなぁ」
突然、千絵が遊びに誘って来たのだ。
鹿之助「まぁでも、あいつにしては『いい考え』だな」
そう呟き、少年は青空を眺める。
しかし、顔は笑ってはいなかった。
むしろどこか寂しげな顔をしていた。
鹿之助(……そうか、あの大災害が起きてから、もう八年経つんだよなぁ)
忘れない、いや忘れられないあの日。
鹿之助も同じ、大切な人を亡くした。
だから、あの少女の事情を知っている。
そして、今日がどんなに大切な日なのかを。
だから少しでも悲しい気持ちを紛らわせる為、千絵は幼馴染み同士、二人を遊びに誘ったのだろう。
そして。
千絵「おーい!鹿之助ぇー!」
噂をすれば、と鹿之助は笑いながら呟き、二人の少女と待ち合わせ場所で合流する。
鹿之助「っで……、どこ行くんだ?」
千絵「ん?そりゃあ……」
にやりと、不適そうに笑いながら、
千絵「ショッピングよ♪」
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