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6.
『エリア:第2区』は、多くの人達が集う、いわば昔東京にあった渋谷や新宿と同じ、オススメショッピングスポットとなっている。
そして、駅前の大通りは大勢の中高生でごった返ししていた。
今日はどこの学校も『能力定期試験』のため、昼過ぎの街には学生達が一斉に解放された。
とりわけ、大手デパートが集中する駅前の一角には多くの人々が殺到する。
三人はそんな雑踏の中を歩く。
鹿之助「さすが……。隣の町はすごいよなぁ」
千絵「オススメショッピングスポットだからねぇ。杏梨、大丈夫?」
杏梨「う、うん。何とか」
多くの人達に押されながら、三人は何とかデパートの入口に辿り着く。
駅前の大通りほどではないが、ここにも多くの学生達が行き来していた。
鹿之助「取り敢えず、メシでも食いますか。二人共、なんか希望とかあるか?」
千絵「そうねぇ。なら、安くて量が多くてあまり人に知られていないお店がいいわよねぇ」
鹿之助「……、それはちょっと捜すのが難しいな。杏梨は?」
杏梨「えっ!あっ……、私は……」
ずっと俯いたままだった杏梨は、突然呼ばれてびくっ!と肩を震わせる。
千絵「大丈夫、杏梨?」
杏梨「うん……。大丈夫だよ」
消え入りそうな声で、杏梨は微笑みながら言う。
無理して笑っている事は見え見えだった。
千絵は少し心配そうな顔で、杏梨を見つめていたが、気をとりなおす様な感じでまたいつもの様に微笑み、そっかと答える。
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