1人が本棚に入れています
本棚に追加
7.
「がくしょくレストラン?」
「そう、学食レストラン」
良く分からない顔をする千絵に鹿之助は言葉を返す。
三人は、ごく普通のファミレスのようなお店に入っていた。四人掛けのテーブルに、鹿之助と杏梨が向かい合うように、千絵は杏梨の隣に座っている。
鹿之助「コード・エリアって大小無数の学校があるだろ。だから街中の学食のレシピの美味しいトコを集めただけで一軒の店が賄えるんだ。まぁ、学食レストランといっても給食も混じっているけど。他の学校では何を食ってんだろうっていう疑問もこれで解消という訳」
千絵「ふーん。まぁ安いし、量は分からないけど、たまにはこういう懐かしさを感じながら食事するってのも中々のオツね。アンタにしては珍しく良いの選んだじゃないの」
鹿之助「どういう事だそれは」
少年はそう言いながら重たい溜め息をつく。
杏梨「ねぇ、私はこれでいいよ」
さっきりより元気を取り戻した杏梨は、メニューにある料理に指を指す。
千絵(ふふ。いつもの顔に戻ってる。やっぱ連れて来て良かった)
鹿之助「お、どれだ?」
そう言い、机に乗っかる様にメニュー本に顔を寄せる。
杏梨「あっ……」
鹿之助「えっ……」
今気付いたのだが、杏梨もメニューに顔を寄せていたのだ。
という事で、目を見開いた杏梨の顔が鹿之助の目の前にある。息を吸い込んだ少女が、一音だけ唇から声を漏らす。その吐息が鼻先にかかるほどといえば、どれだけ近いか分かるだろう。
鹿之助「どわわわわわッ!!ごっごめん!!つい!!」
杏梨「うっうん。べっ……別に」
二人の戸惑っている姿を、千絵はニヤニヤと口を歪ませていた。
千絵「いやぁー、あいかわらず仲がよろしくって♪」
鹿之助「ちッ違う!誤解だ!!」
静かな店の中で、ギャーギャー!と鹿之助の叫び声が響く。客も店員も、何事かと三人が座っている座席に目を向け出す。
最初のコメントを投稿しよう!