序章~炎の中の少年~

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序章~炎の中の少年~

それは、突然だった。 東京に大規模な大爆発が起きた。 原因は不明。 東京の街は、炎と化し、『私』はその中で目を覚ました。こんな状況で、五体満足で生きてられているのが、不思議でしょうがなかった。 本当に、奇跡としか言いようがなかった。 私は、体を起こし、辺りを見渡す。 ここがどこなのか分からない……。 外であることは確か。……というより、何故私はこんな所にいるのだろう? 記憶が曖昧になっている。思い出そうとすると頭が痛くなる。 何でだろう……。 そんな事より、お父さんと、お母さんは? もう一度、辺りを見回すが、誰もいなかった。 今更だが、突然怖くなって涙が出てきた。 私はここで、この場所で、誰にも見つかる事なく、死んでいくのだろうか? そう思ってしまい、涙が止まらなかった。 父親と母親を、叫んで呼ぶが、当然そんなものでやって来るとは思えない。 しかし、それでも、私は叫ばずにはいられなかった。 その時だった。 遠くから爆発の音が耳に入る。 私はそれに怯え、その場に蹲る。 もう、イヤだ……。私が何をしたの? 帰りたい……。お父さんと、お母さんに会いたい! 炎の中で、私は嘆く。 歯をガリリ……ッ!!と、軋ませる様に噛み締める。 しかし、絶望に打ちひしがれている、その直後の出来事だった。 こっちに来い!!と、炎の中から少年の様な声が、私の耳に入る。 一瞬、幻聴かと思ったが、何度も呼び掛けているので、私は声のした方向に進む。 怖いが、ここにいるよりはマシだと思い、私は一歩、一歩と歩々を進める。 来た所は、何もない荒れ地だった。 ビルが倒壊した瓦礫の数々は周辺に転がっているが、さっきの場所よりかは安全地帯だった。 しかし、誰もいなかった。 確かに少年の声のした方向はここで合っている。 その時、また遠くから爆音が鳴り響く。 私はふいにその方向を振り向く。 振り向くとその方向の一帯は、何もかもが炎に包まれていた。 その光景は、まさに地獄絵図と言ってもいい。 そしてその一帯からは結構離れているというのに、熱気がここからでも伝わってきていた。 とても近付けるような場所ではなかった。
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