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でも、だ。
私は、見た。
そな炎の中に一人、佇んでいる少年の姿を。
とても、不思議な光景だった。
姿などはあまり見えなかったが、その少年は私を見ると、何故か涙を流していた。
まるで安心したかの様に。
もしかしたらさっきの声は、あの少年なのかもしれない。いや、そうに違いなかった。
少年は、私を無事だと判断したのか、その場から離れようとする。
よく見れば、少年の右手には、日本刀の様な刀を持っていた。
いや、そんな事よりも。
私は、少年を呼び止めた。
その声に対し、刀を持っている少年は立ち止まる。
そして振り向く。
少年は、また涙を流しながら、何かを言っていた。
ここからでははっきりと聞こえなかったが、最後の言葉は、何故かはっきりと耳に入った。
それはまるで……。
電話越しで会話してるかの様に、はっきりと。
『本当に、ごめんな』
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