第一章~来訪、刀を持つ少年~

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これも、最近になって作られた。 レベルは十段階にまでにあり、最低ランクが『コード:1』。最高が『コード:10』。 テストの結果次第で、生徒又は大人達の『能力レベル』(コードレベル)が分けられるのだ。 だから今日は、この行事は皆、緊張が走る大事な日なのだ。 杏梨「ぜったい、コレを考案した理事長達の陰謀だよ。陰でレベルが区分される私達の恐怖を見て笑っているに違いないよ!」 千絵「それはちょっと考え過ぎじゃない?」 ちなみに、椎名杏梨のコードレベルは2で、八木原千絵のコードレベルは3である。 それを考えると、よりいっそ気力が失ってしまう。 杏梨「はぁー……。『記憶術』とか『暗記術』とか、そんな名前でごまかして『頭の開発』を平然と時間割り(カリキュラム)に組み込むなんて、この都市はどうかしてるよ」 千絵「まぁ、確かにそうね。昔は普通に授業とかをやっていたけど、『能力授業』(パワーカリキュラム)とかが実施されて、変わったわよねぇ」 杏梨「ほんと、どいつもこいつもおかしいよ。レベルなんていう副産物で悦に入るなんて。私達の目的は『その先にあるもの』なんじゃないの……?」 千絵「はぁ?……ああアレね。何だったのかしら、確か『人間に神様の計算はできない。ならばまずは人間を超えた体を手にしなければ神様の答えには辿り着けない』だっけ?」 杏梨「ふぇ?」 何を言っているのか分からない様な感じで、杏梨は首を傾げ出す。 千絵「いや……、何でもないわ」 ははは……、と頭を抱えながらまた苦笑する。 杏梨「とにかく、私はこんなの認めないよ!」 杏梨は駄々をこねる様に、ジタバタと足を動かす。 それを見て千絵は、大きく溜め息を吐く。 千絵(全く……、この子は) 千絵はふと、黒板の上にある時計に目を向ける。『能力定期試験』まで、あと十分を切っていた。
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