58人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
■真実は一つじゃない
「認知バイアス」という言葉がありまして。
私はこの言葉が好きです。
バイアスとは「歪み」の事です。
同じ場所で同じ体験をした人間は、同じ真実に触れただろうか。
うん、違いますね。
鈴木さん語る
「車がふらっとしてさ、電信柱にドーンと衝突したの!
俺すぐに佐藤と駆けつけてさ、窓をノックしたのさ!」
佐藤さん語る
「なんか車がふらついていると思ったら、急にハンドル切って。
電柱にぶつかったんだよね。鈴木と驚いてしばらく見てたんだけど、
運転手が出てこないから一緒に見に行ったのさ。」
それがどうしたかというと、それが認知の歪み。
鈴木さんは「衝突した」
佐藤さんは「ぶつかった」
鈴木さんは「すぐに駆けつけ」
佐藤さんは「しばらく見てた」
ただの表現の選択の違いに思えるかもしれないけど、
鈴木さんと佐藤さんでは
記憶の中の車のスピードが違う。
衝突後の時間の長さが違う。
結果、お互いに真実が違う。
これは誤解じゃない。
佐藤さんからは鈴木さんが間違ってると思うかもしれない。
鈴木さんからは佐藤さんが間違ってると思うかもしれない。
どちらも間違っていない。
だって、真実は一つじゃないんだ。
最初のコメントを投稿しよう!