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エニスは昨日、鋼一とアリスの通っている学園に一年生として入学していた。
彼女達フィローゼ一家と一緒にお祝いをしたから知っていたが、エニスの意図に気づいた鋼一は笑顔で感想を言う。
「うん似合ってるし可愛いよ。それと入学おめでとう」
「はい!!ありがとうございます鋼一さん」
鋼一の言葉にエニスは照れ臭そうな、また嬉しそうに笑顔を浮かべた。
「じー……」
と、鋼一とエニスの会話を横で聞いていたアリスが不満そうに割って入ってくる。
「こーいち私の時はなにも言ってくれなかったじゃない!!」
「だって、お前ならなに着ても似合うからいちいち褒めるのも面倒なんだよ」
「 それでも少しくらい褒めてよバカ!」
「はいはい。次からはしっかり言うよ。ついでに何十枚も写真撮ってうちの両親に送ってやる。あの二人お前にベタ惚れだから凄い喜ぶしきっと沢山褒めてくれるよ。お前も夜十神家全員に褒められて最高だろ?」
「うん!!」
予想外のアリスの胸を張った返事に余裕綽々な顔をしていた鋼一は間抜けにも口を開けたまま固まってしまった。
(あ、あれぇえ!?)
ここは「やめてよ!!」とか言われると思った鋼一は絶句する。
鋼一は無表情で鞄から取り出した宿題を爛々と嬉しそうなアリスに向かって放り投げた。
勘違いしてはいけないが、悔しくて放り投げたのではない。
男としてそんな女々しい事はしていない。女々しさを嘆くのは妙なリズムで人を惑わすあの歌だけで十分だ。
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