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「あの……鋼一さん。学園について少し説明していただいてもよろしいでしょうか?」
エニスがおずおずといった様子で尋ねてきた。
鋼一は気を取り直し気さくにいいよ、と答えた。
「俺も全部を知ってる訳じゃないけどエニスにも分かる様に簡単に説明するね」
エニスはアリスと違って頭脳明晰だ。
恐らく彼女なら入学先の学園くらい事前に調べてあると思ったが、如何せん普通とはかけ離れ、常軌を逸している学園の事をパンフレットだけで理解するのは難しかったかなと勝手に解釈する。
鋼一は椅子から立ち上がり説明を始めた。
鋼一達の通う学園は最寄のモノレールに乗って10分程行った海の上にある。
回りを人工木と広大な海で囲み、日本で最先端の研究施設と一緒に併設された学園は実は巨大な人口島なのだ。
『全校生徒数9000人』
『教員数2800人』
『人工島直径10km』
『校舎数28』
『グラウンド数12』
『最新設備と実験場を完備』
敷地面積なども踏まえて、全てここまで大きくする予定ではなかったのだが、何でも理事長である〈三博士〉の1人、ノリス=フィローゼが自分の所有する研究施設も隣接させたいと言い出しその結果これだけ広くなってしまったのだ。
〈三博士〉の権力は偉大なものであった。
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