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彼にとって負けず嫌いな原因はそんな不幸な出来事にも負けたくなかったからかもしれない。
「ねぇこーいち!!ちょっと!!無視しないでよ!!」
他者に負ける事は無論、自分に負ける事も嫌いだった。
彼の心根は18歳になっても尚変わってはいない。
「私が悪かったから!!謝るわよ!!ごめんなさい!!」
鋼一は閉じていた瞼をゆっくりと開く。鋼一の視界に映った少女はいつの間にか枯れた向日葵の様に萎れていた。
「今度はしっかり宿題するからぁ……グダグダ言わずにやるわよ……」
少女は眉頭をキュッと締めて根を上げた。
仕方なく鋼一は少女へと向き直り、口を開く。
「本当だな?勉強が嫌いなのは知ってるけど、春休みの宿題を教えてもらってるのに何でさっきから偉そうなのさ」
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