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「その……あまりにも宿題の量が多くてむしゃくしゃして……やつあたりしちゃってた。ごめんなさい……」
彼女は頭を下げ、素直に謝った。まるで痴漢をした犯罪者の様な言葉だが口には出さないでおく。
ここは彼の幼馴染の部屋。
鋼一はかれこれ8時間程成績がとても悪い幼馴染の宿題をみていた。昼から面倒を見ていたので既に時刻は21時を少し回っている。
外は太陽が沈んで暗く、春先の真夜中の冷えは毛皮むくむくな熊さんもおっかなビックリな冷え込みだ。
パン、と少女は鋼一に向かって手を合わせ拝んだ。
「私にもう一度、物理を教えて下さい!!」
彼女の名前は────アリス=フィローゼ。
鋼一の幼馴染で年もクラスも同じである。
特徴は彼女自慢の手入れのされた長い金髪。
キメの細かい白い肌。
吸い込まれそうになる碧眼に主張の強い胸と全体的に活発な雰囲気を纏った少女である。
鋼一の幼馴染────アリスは机の上にぽん、と乗せられたウサギ型の時計を見て戸惑い始める。
「まずいよ!?始業式まで12時間切っちゃった!!あー!!もう無理無理!!絶対間に合わないよー!!」
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