25人が本棚に入れています
本棚に追加
アリスは頭を抱えこの世の終わりだと言わんばかりの表情で喚き散らした。
鋼一はそんなアリスをみてこれがアリとキリギリスの話でいうキリギリスの末路かな、と乾いた笑みを浮かべた。
何とかして宿題を終わらせたい気持ちは分かるしどうにかしてあげたいとは思っている。
しかし、彼女の勉強能力の低さにはさしもの鋼一も敵わず、八方塞がり。
よってアリスの宿題を終わらせるという希望は儚く散りそうだった。
狭い一室で絶望的な状況が留まっている中で不意にトタトタと階段を駆け足で上がってくる音がする。
数秒もしないうちにドン、と勢いよくドアが開いた。
「お久しぶりです鋼一さん!!」
眩しい笑顔と共に元気良く部屋に入ってきたのアリスの妹────エニス=フィローゼである。
アリスと同じ金髪をサイドテールにして、幼さの残る顔をしたとても礼儀正しい子だ。
顔の作りについては二人とも容姿端麗な母親によく似ている。
最初のコメントを投稿しよう!