三島 麗奈(みしま れな)

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この頃のニュースも平和な物ばかりだ。 今話題となっている、児童教育の完全機械プログラムシステムの導入の賛否両論。 新作の音楽、イマジネーションシステムの体感娯楽、デザインの宣伝、最新ペット開発情報など、いつもとほとんど変わらない単調なニュースが流れる。 そんな中、一人の老人のニュースが流れる。 その老人は、このご時世にイマジネーションシステムも、意識転移装置も、ライフサポートシステムも、人体再生さえも使わずに生活をしているそうだ。 (へぇ。変わり者もいるもんだね。) 麗奈は自分の事を棚に上げてニュースを耳に入れながら感心する。 食事を済ませ、最後に気に入った銘柄の茶を飲み終えると、出社のために全自動車の止めてある駐車スペースへと行く。草木のホログラムが割れ、麗奈の愛車が姿を見せた。 このご時世には、瞬間転移装置などという便利な物もあるが、如何せん生き物を輸送するには、体の組織の分解や意識の離脱が起きぬよう緻密なプログラミングが必要であり、人間の体は転移させる物質にしては大きく重過ぎるために大企業やお偉いさん方は持っているが一般化はされていない。
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