最終章――仁

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使い果たしたから、今、 俺はこんなところに居る。 こんなところに居る、のに。 でもな、とっても幸せなんだ。 これ以上ないくらい、幸せなんだ。 柊香のこと、こんだけ泣かせても。 けど、やっぱり幸せなんだ。 ごめん、ごめんよ、柊香。 俺の、カワイイカワイイ、柊香。 生きて仕事してた時と違って、 こんなにもいつも傍に居られることを。 ごめん、俺は。 本当に幸せだと、思っちまってんだ。 「幸せなの?」 俺の声が聴こえるかのように、 柊香が静かに問うた。
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