最終章――仁

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「幸せじゃないんですか?」 たぶん――俺の代わりに。 美映ちゃんが柊香に応えてくれる。 「愛している人が居て。  心の重なる距離に居て。  淋しくて泣けるほどの恋をして。  お義母さんは、  幸せじゃないんですか?」 同じですよ、と。 美映ちゃんは、また付け足した。 居るよ、柊香。俺はここに居る。 お前からは見えないかもしれないが、 俺はずっとここに居るんだ。 心の重なる幸せに―― 魂が震えるほどの喜びを―― 「俺もそう思うよ」 出逢った当時の俺と、 同じ年頃に育った勝が微笑んだ。 恐らく、それも。 ――俺の代わりに。
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