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「見えても、見えなくても。
触れても、触れられなくても。
違うだろ。そんなんじゃない。
大事なのは、気持ちなんだから。
親父が母さんを愛してたこと、
知ってるぜ、俺は。
母さんだって、知ってるだろ?」
朗らかに笑うと、
本当に勝は、柊香によく似ている。
「ずっとずっと、ベタ惚れだったよね」
俺に似た瞬はニヤッと笑って、
こういう表情まで似ちまったのかと、
同じようなニヤリ笑いが浮かんでくる。
トコトコと距離を詰めた瞬は。
ゆっくりと優しく、柊香を抱き締めた。
きっと――俺の代わりに。
「今も愛してるよ、あの人は。
んでもって、ずっと母さんと居る。
あの親父が、こんな墓石んとこで、
大人しくしてるワケがねぇもんな」
勝の言うとおりだ。
俺はいつだって、柊香の傍にいる。
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