最終章――仁

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「いっつも、『柊香が一番だ』って、  言い続けてたよな。  子供は後回しって笑ってた」 なんて父親だと、人は言うかもしれない。 でも、それが本音だったから。 だいたい、息子なんて、 そのうち大事な女を見つけて、 親から離れていくもんだろう? それまではもちろん見守るし、 ずっと大事な家族だが。 一番は、やっぱり柊香なんだ。 俺の一番は、揺らがない。 生きてるとか死んでるとか、 そんなことすら超越してんだから。 「仁……さん」 ギュッと。 柊香に回した腕を、瞬は無言で強めた。 「仁さぁん……」 泣き方は、昔から同じだな。
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