第一章――柊香

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「ほら、千賀ちゃん。  あそこにいるわ」 いつもは遠巻きに眺めているだけだったけれど。 今夜は違う。 そう、意気込んで。 「行ってみましょう?」 今夜も可愛い千賀ちゃんは、 『風と共に去りぬ』の女優ヴィヴィアン・リーのように可憐だった。 淡いブルーのドレスが魅力を増幅させている。 いつものようにたくさんの男性に声をかけられたけれど、それも当然。 だって、こんなに可愛いんだもの。 きっと、 松崎さんの心だって射止められるはず。 あたしたちは信じて疑わなかった。 「えぇ。頑張るわ」
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