第1幕「開演」

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第1幕「開演」

私は、死んでいる。 死にながら生きている。 だのに、どこかで夢を見ている。 子供が見るような無邪気な夢を。 それは童話のような、魅惑的で、幻想的で、胸が高鳴るようなストーリー。 でも童話は現実になることはない。 童話が童話であるうちは。 午前2時過ぎ、真冬の寒空は私の心をも凍てつかせた。 ああ、サンタクロースはどこに行ってしまったのだろうか。 ゆっくりと宛てもなく閑散とした夜道を歩く。チカチカと鈍く点灯する街灯がやけに目立っていた。 ふと立ち止まり空を見上げる。 私はひたすら「メリークリスマス」を待ち続けた。
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