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なんで生きてる…………。
なんでここにいる…………。
訳が分からねぇ。
この俺、ソル・ラトスは死んだはずなのに。
俺は帝国最強の魔道士として王国ギルド最強の魔導士と戦い、そして敗れた。
そもそもなんで俺は奴……風雷の操者と戦ってたんだ?それも王国の学園で。
…………ダメだ、何にも思い出せねぇ。
俺が覚えているのは風雷の操者と戦い殺された事と、産まれてからこの間の冬までの間。この蒸し暑い感じからして今は夏。気温が調節されてない事から帝国じゃない。約半年間の記憶がねぇって事か。
前線から帝都に戻ってきて、殺されるまでの間に何かあった事は分かるんだが、それが何なのか全く思い出せない。
それにここは一体どこなんだ。
俺はひとまず何故か仰向けで寝ていた体を起こして辺りを見渡す。
そこで最初に俺は手に違和感を感じる。
ふと視線を手元に向けるとそこには手錠を掛けられた俺の両手首が。
これはただの手錠じゃないな。魔力を使えなくする封印具の役割も果たしてやがる。
まあよく使われるタイプの手錠って事か。
周りには石造りの冷たい壁があり、頑丈そうな扉が付いている。
窓ひとつないこの狭い部屋に俺は一人ぼっちか。それと、手錠付けられてるって事は味方の施設じゃない事は確かだ。
とりあえず外の状況を確認しない事には何にも始まらない。
つっても魔力が使えない以上この手錠をぶち壊す事すら叶わない。
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