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滲むように流れてくる汗と涙。
〝早く…早く!見つけなきゃ!!〟
「かなっ………」
弥生が立ち止まり、再び叫ぼうとした瞬間、背後から聞こえてきたバキッ…ゴキャッっと言う鈍く歯が浮く様な音。
その音は確かに今通ってきた場所。
私の後ろから聞こえている。
〝見ちゃダメ…見…ちゃ…〟
喉が乾く。
クチャリ…クチャリと何かを食べる咀嚼音が、最悪な光景を連想させる。
「…………。かな…で…さん?」
弥生は、ゆっくりと振り返る。
現状を知るため、背後で起こっているであろう恐怖に立ち向かう。
だが、ゴロッ…とボーリングの玉のような足にあたり、咄嗟にそれを見てしまった。
「っ!?
イヤァァァァ!!!」
弥生の足にあたったもの。
それは、奏の頭部。
弥生は腰を抜かし、後退る。
「や…よ…い…た…す…け……」
「イヤァァイヤァァァァ!!!」
頭部だけになっても、血の涙を流し助けを求める奏に、頭が真っ白になり、ただ叫び続ける事しか出来ない。
「た…す…け…て…や…よ…い…」
「かっ…奏さん…」
奏の頭部に目が離せなくなってしまった。
思考は完全に停止し、ただ見続ける。
「あ…あああ……。」
「た……す………」
次の瞬間、真っ赤に染まった細い足が、奏の頭部に乗っかりグシャっと言う鈍い音と共に潰された。
まるで、潰れたスイカの様に無残に砕け散り、弥生の頬を赤く染める。
「ひぃっ!」
弥生は全身を震わせながら、そっと顔を確認する。
「逃がさない!
何処に逃げても無駄……
後、182日。」
「ふひぃぃぃぃ…」
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