第1章 プロローグ

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滲むように流れてくる汗と涙。 〝早く…早く!見つけなきゃ!!〟 「かなっ………」 弥生が立ち止まり、再び叫ぼうとした瞬間、背後から聞こえてきたバキッ…ゴキャッっと言う鈍く歯が浮く様な音。 その音は確かに今通ってきた場所。 私の後ろから聞こえている。 〝見ちゃダメ…見…ちゃ…〟 喉が乾く。 クチャリ…クチャリと何かを食べる咀嚼音が、最悪な光景を連想させる。 「…………。かな…で…さん?」 弥生は、ゆっくりと振り返る。 現状を知るため、背後で起こっているであろう恐怖に立ち向かう。 だが、ゴロッ…とボーリングの玉のような足にあたり、咄嗟にそれを見てしまった。 「っ!? イヤァァァァ!!!」 弥生の足にあたったもの。 それは、奏の頭部。 弥生は腰を抜かし、後退る。 「や…よ…い…た…す…け……」 「イヤァァイヤァァァァ!!!」 頭部だけになっても、血の涙を流し助けを求める奏に、頭が真っ白になり、ただ叫び続ける事しか出来ない。 「た…す…け…て…や…よ…い…」 「かっ…奏さん…」 奏の頭部に目が離せなくなってしまった。 思考は完全に停止し、ただ見続ける。 「あ…あああ……。」 「た……す………」 次の瞬間、真っ赤に染まった細い足が、奏の頭部に乗っかりグシャっと言う鈍い音と共に潰された。 まるで、潰れたスイカの様に無残に砕け散り、弥生の頬を赤く染める。 「ひぃっ!」 弥生は全身を震わせながら、そっと顔を確認する。 「逃がさない! 何処に逃げても無駄…… 後、182日。」 「ふひぃぃぃぃ…」
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