2、巻き戻る時間

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2013年。 あたしは衝動的に2階の窓から飛び降りた。 もちろん2階から落ちたくらいで死ぬはずがない。ブロックに肩をぶつけて骨折しただけだった。 病院に運ばれたけど、軽い怪我だったからすぐに家に帰らされた。 家に帰ってから、思い切り正治さんにぶたれた。 「どこに行こうとしてたんだ! 男に会いに行こうとしたのか!?」 正治さんは存在しない男の影に怯えている。1階の窓を全部開けられないようにして、玄関のドアには外から鍵がつけられた。 この人はあたしのことなんて何もわかっていない。わかろうともしない。傲慢で臆病。 男なんて大嫌い。 最近あたしは意識を閉じることができるようになった。心の中のシャッターを下ろすと、何も聞こえなくなる。痛みも鈍くなる。 自分の身体が横に飛んで、初めて殴られたことに気がついた。 すごい剣幕で何かわめいているけど、あたしには届かない。 まるでサイレント映画を見ているみたいだ。 あたしは目を閉じて空想にひたる。 白い校舎。白い制服。学園に通っていた頃のこと。 お腹を思い切り蹴られて少し意識が戻ってしまった。 違う。こんなの現実じゃない。 あたしはまた意識を閉じて、学生時代に思いをはせた。
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