3、蘇る記憶

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激しい眠気が急にあたしを襲った。少し気を抜いたら意識をもっていかれそうになる。 「やだ……! 怖い!」 あたしは多々良の手をぎゅっと握り締めた。 「落ち着け。大丈夫だから」 多々良があたしの手を握り返す。あたしは消える前に、と多々良に矢継ぎ早に質問した。 「なんであなたはあたしの夢の中にいたの? あなた何なの? 」 多々良は少し躊躇いがちに言った。 「お前の首にある十字架のアザさあ、俺の元恋人と同じなんだよ」 「どういうこと? 元恋人って……」 「“あきら”。知ってるだろ。お前と同じアザを持ってた男」 「……ウソ!計算が合わな――…」 喋ってる途中でいきなり唇をふさがれた。驚いたけど、多々良の唇は全然不快じゃなかった。 そのまま目を閉じて身を任せた。 優しくて愛しくて涙が出た。 唇を離した多々良は気恥ずかしそうに目をそらした。 「なにするのよ……ゲイのくせに」 うっかり心臓が高鳴ったのが悔しい。多々良は言った。 「ゲイだからいいんだろ。純粋な友情が築ける。友情のキスだよ」 「ばかじゃないの……」 多々良が耳元に口をよせて小さな声でボソッと言った。 「……つ…………て……よか……た」 その言葉を耳にしたのを最後に、あたしの意識はするすると何かに引っ張られるように、上に吊り上げられていった。
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