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病室のドアが開いた音で我に帰った。
お母さんが明るい声を出す。
「よかったわね。正治さんが来たわよ」
「玲奈……」
正治さんが遠慮がちにあたしを呼んだ。お母さんが笑って言った。
「じゃあお母さんは帰るからね。正治さん、お仕事なのにありがとう」
「いえ。大丈夫です」
「お母さん待って! 待って……」
「玲奈ちゃん?」
お母さんが怪訝そうにあたしを見る。正治さんがあたしとお母さんの間に入る。
「玲奈。寂しいのはわかるけど、引き止めるな。お義母さんはずっとついててくれたんだぞ」
顔が焦ってる。そうだね。言われたら困るもんね。
あたしは正治さんを見ずにお母さんに言った。
「強盗なんか入ってない。この怪我は正治さんにやられたの」
病室の空気が凍った。
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