1、消失学園

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「代わってもらっていーの?」 「いーのよ!」 藤田さんがまくしたてるように言った。 「篠宮さんは真っ直ぐ寮に帰って! 来ないでよね。私が啓介さんと掃除するから――…」 「けいすけさん?」 聞き返すと、藤田さんはハッとしたように口を押えた。 藤田さんの頬が赤く染まる。 「な、なんでもない! ほら、3限始まるから前向いてなさいよ! でもさっき私が名前で呼んでたこと、絶対に誰にも言ったらダメだからね! 神父様にもよ、絶対よ」 藤田さんは顔を真っ赤にしたまま言った。 「別に好きとかじゃないんだからね!」 「……ふっ……」 藤田さんの可愛い一面に笑ってしまった。 「何笑ってるのよ!」 「笑ってないって。代わってくれてありがとね」 藤田さんとは気が合わないと思って距離を置いていたけれど、喋ってみたら案外楽しいかもしれない。 明日また藤田さんに話しかけて(からかって)みよう。 真っ直ぐ寮に帰ったあたしは、自室のベッドにダイブした。夕食まで時間があるしひと眠りしよう。 なんだかすごく眠い。 うつぶせで枕に顔を埋めた。 そのまま枕の下に何気なく手を突っ込んだ。 「なにこれ」 何か固い紙に指先に当たった。 不思議に思って引っ張り出すと、出てきたのは1冊のノートだった。 ノートの表紙には『愛美・玲奈交換ノート』と書いてあった。 【愛美】 知らない女の子との交換ノート。こんなノート知らない。背筋が寒くなった。 「愛美って……だれ?」
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