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肩を竦め、呆れた様子でため息すらも吐くと。俺の耳元である事を告げた、咄嗟にまた両親を信じられなくなる。
重ね重ねの偽り、何故あいつらは何時も裏切るのか。理解し難くも自分だけが避けられている、そんな感覚に苛まれた。
愛結は語る、過去に何があったのかを。其れは俺達が双子だった事から始まる、四、五歳の頃に定められた理由だった。
昔からある、仕来たり。其れは余りに残酷な現状、そして無残な幻想。姉さんは涙ながらに、全てを話す。
佐千家に伝わる、掟のような縛り。此が事の始まりだった、双子の場合は縁起が悪く。どちらかを選ばなければならない、けど両親はそんな馬鹿げた事を選べずにいた。
だが一つだけ方法があった、其れはどちらかでは無く双子をやむを得ず引き離し別々の場所で育てると言う突拍子な案だった。けどまだ赤子だった二人を引き離すのは、無理もある。
そこで、幼児期に入るのを待つ事にし。俺と愛結は暫くは一緒に居た、けどある日時期が来てしまう。
掟破りの両親を、捕らえようと何人もの人達が怪訝な眼を向け常に監視した。
中には、必ず不幸になる村から出て行けと言う者が大半を占める。やがて両親は故郷を離れ、この町に来た。
「それと、何の関係が?」
「覚えて無いのか、あんたが助けようとした女の子。あれ村から来た敵、つまり騙された挙げ句。孔は……命はとりとめたものの記憶を失ったの」
そして、やむ無く引き離された。彼女が病院に居る理由は同じ手でやられようだ、しかし残念な事にそのせいで車椅子になっていた。
こんな現実、果たして本当に存在しているのだろうか。酷い事をされたのに、両親は警察にも届けを出さない。
自分の子供を、一生歩けなくされたのに。それでも眼を瞑り無視すると言うのなら、俺は親を殺す。芽生えたのは、自分でも驚くまでの殺意だった。
けど、まだはっきりとしない覚醒しきらない記憶。どうにも不愉快だ、そして虚しくも感じた。
何故、両親は犯罪紛いの事をずっと堪え続けるのだろう。誰か相談する相手だとかは居ないのだろうか、やはり分からない。
村を捨て、両親は自分等を此の町に移住させた。なのに何故急に引き離されたのか、そしてあの女の子は何者なのだろう。
「踏切に、中学生の子が居たよな?」
「そう、村から使わされた……人とは違う支えし聖者。つまり巫女ね」
彼女は黙々と、包み隠さず語ると肩を竦めて苦笑いを浮かべた。
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