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窓から差し込む陽光、照り付ける暑さは半端なものでは無い。されど夏と言えば必ず涼しくなる物がある、そこでだ。
「涼しくなる方法、分かるか?」
「はっ?全然分かんないんだけど」
此所は音鈴学校、おんれいの由来は昔から伝わる七不思議に関係している。
因みにこいつは林凛子(ハヤシリンコ)
幼なじみだ、そして俺は佐千孔(サゼントオル)
現在、進行形と言うやつでミステリー部をやっている。しかし部活には決まりがあり、部員が五人居なければならない。
まさか揃っていない何て事も無く、特に困ってはいないのだが。
外では蝉が喧しく鳴き、絶好の夏日和だ。此所一階の教室の隣、そこにミステリー部がある。
窓の外は、木が生い茂っている為に蝉がよく止まり時折話しを遮っていた。何を話しているかと言えば、他愛も無い会話。
極日常的で、凄く面白味すらも無い。極端に言えば普通過ぎる、俺は欠伸をし。
机に顔を突っ伏す、そしてついつい重い瞼を閉じかけた。突然の言葉にまだ唖然としている幼なじみをおいて、一人爆睡し始める。
「ちょっと、起きなさーい!」
「んっ、今何時だ……?」
冗談のつもりで言った、だが彼女は半ば呆れ気味に肩を竦める。凄い血相で睨まれ、気付けば怒って何処かに行ってしまった。
不味い、そう思った俺は凛子の跡を追う。しかし既に彼女の姿は無く、仕方無しに踵を翻して部室へと戻る。
部室に着くと、中に人の気配がした。可笑しい、自分達以外に今日は部員は来ていない筈だ。
思わず、扉を開ける事を躊躇し。狼狽え気味にその場で立ち竦む、すると。
ガタリッ、そんな物音が聞こえる。途端に何かがいると察し、恐る恐る扉をほんの僅かに開く。
「……どうも」
「ぎゃあああああ」
部室に居たのは、見覚えの無い生徒。思わず声を上げて叫ぶ、途端に少女はくすりと笑う。
明らかに人間じゃ無い、そう分かるのには理由がある。見た所下級生のようだが、彼女はずいぶん昔のセーラー服を着ていた。
つまり、初代の音鈴学校から存在する霊に違い無い。古くから漂う、恐らくは浮遊霊だろうか。
いや、まさか少女の名前は。一つだけ思い当たるのは彼女の名前、途端に恐怖が込み上げる。
だがあれはトイレに存在する筈、だとすれば学生服とくればもう察しがつく。
「当ててやる、お前は……先ずこの名前は決して口には出来ない」
「正解よ、よく分かるね。今や情報社会だからかな?」
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