第1章 俺と彼女の出会い

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逆に、あれが偽りとするのなら。俺はとんでもなく非道な人間、かたわれを勝手に死んだ事にしていたなんて。 まさか、あいつが生きているとは考え難かった。知らぬ間に愛結が事故に遭ったと聞かされたのが、唯一覚えている記憶。 けど、確かに踏切の場所で愛結はヒカレタ。原因は肝試しに来た罰、なのに俺だけが責任をおわされてきた。 死んだから、其れで何事も無かったようにのうのうと生きる。そして幼かった俺の心境を考え、周りは愛結の事を話さなくなっていた。 消えたのでは無く、隔離された彼女はどう思ったのだろう。車椅子姿の女の子を思い出す、いつの間にか俺は姉に同情している。 「愛結に会いてえよ……何で叶わないんだよ!」 自分と血の繋がった家族、なのに再会を許されない。俺は過去に何をしたのか、気になって眠れずにいた。 狭い、縦に足が伸びるか伸びないくらいのスペース。周りには同じようなカプセルが、幾つか並んでいる。 何れも、寝れる幅だけを考えて作られているようだ。これ、背が高い奴は入れないな。何て馬鹿げた事を考えながら、ゆっくりと瞼を閉じる。 結局、気付けば夢の中に居た。靄のかかった踏切が、カンカンカンッと鳴りながら明かりを点滅させている。 カンカンカンッ まただ、これは何処か聞き覚えがある。愛結の時は既に真っ暗で、夜道がよく見えない。 闇夜の中に、走る列車と通行人の悲鳴が今でも耳に残っている。より明細に映るあの光景は、やはり完全では無く何処かが欠落していた。 そして、レールの上で踏切の前でただ虚ろな眼をして立つ女の子。 自殺だと、一目視て分かり。俺は手を引き、抱きしめるようにして列車の来ない位置まで彼女を連れて来た。 「何があったかは知らない、けど命を粗末にするのだけは止めろ!」 「う、うわああああん……」 泣きじゃくって、彼女は俺の胸板に顔を埋めて嗚咽した。単に自分と同じ孤独だったのかも知れない、一人の命を救えた事に感謝し。 静かに、女の子が泣き止むのを暫し待った。するとその時、列車が目の前を走り過ぎると同時。 急にレール側に推し飛ばされた、視界が横転し。何もかもがブラックアウトして行く、揺らぐ光景の中で視たのは笑う女の子の姿。 そうだ、そのせいで過去の記憶を失ったんだった。漸く思い出した途端、薄暗く低い天井が視界に飛び込む。 「そっか、俺は記憶を……ならあの女の子は誰なんだ?」
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