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事ノ始まりハ
「ここいらでええだろ。」
「んだな。」
「川に捨てときゃ、海に流れてサメの餌になるだ。」
薄暗い森の川淵に面妖な者達が何か人のようなモノを抱え佇む。
ドボン!と、音がしたかと思うと面妖な者達は人のようなモノを川に投げ入れ口々に言う。
「にしても、手こずったな。」
「んだな。
何人仲間が死んだことか。」
「裏切り者のくせにのう。」
一人の面妖な者がそう言うと他の者達もそうだそうだと言い始め、次第に森の奥に消えていった。
川に投げ入れられた人のような者は沈み行く最中、朦朧とした意識の中で思う。
××…、会いたい。
死ぬなら君の傍らで死にたいー…。
ゴボリ
雲間から見えた月を目にして、それは意識を手放した。
叶うことのない願いを抱きながら。
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