プロローグ

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その建物は街の明るさから隠れるように、ビル裏の薄暗い路地奥にある。 黒縁の格子戸から洩れるのはどこか懐かしさを感じる橙色の明かり。 その空間だけが暗闇のコンクリートジャングルの中で、別世界のように浮かび上がっていた。 入口の脇にある木製の看板に裏目探偵舎と書かれていることで、かろうじてここが探偵事務所であることが伺える。 格子戸の向こうでは今日もいつものメンバーたちが、食事の用意をしながら客人の訪問を待ち詫びていた。
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