第1章 謎の差出人

22/239
1912人が本棚に入れています
本棚に追加
/266ページ
佐藤香蓮の住むマンションは、丸ノ内線荻窪駅から徒歩7分ほどの静かな住宅街にあった。 煉瓦の外壁と両開きのガラスドアを抜けるとそこから先はセキュリテイゲートが作られており、右側の壁沿いに暗証番号を打ち込むパネルが設置されている。 「これじゃセキュリティを外せないとエレベーターにも非常階段にも進めない……。 ってことは、犯人はこのマンションに出入り出来る人間ってことですか?」 「その可能性は否めませんね。まぁひとまず佐藤さんのお部屋の前まで行ってみましょう」 「え? 暗証番号分かるんですか?」 「ええ、たぶん」 「たぶん?!」 驚く梨乃をよそに豹磨はセキュリテイパネルの前に立つと、そこに手をかざして瞼を閉じた。そしてしばし動きを止める。 その様子に梨乃は何が起きるのだろうと胸を弾ませながら注目した。
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!