プロローグ

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途端に鍋の中の鯛から出た脂が鍋の湯に広がって行く様に、雪が歓喜する。 「うわ! さすが海人! 今日の鯛は随分太ってるわね。これならいい出汁が出そう!」 「だろ? だけどコイツ、餌食いだけして逃げやがってよ。苛ついたから、わしづかみで捕まえてやったぜ」 「え……? これ釣ったんじゃなくて、わしづかみしたの?」 「おう!」 「ってことは、この寒いのに海に潜ったの?」 「当たり前だろ」 「……そりゃワ、ワイルドだね」
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