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「あら?珍しい、ナンパしたの?」
扉を開け、エスコートして店へ女性を通す姿を見て、忍は驚いたように話しかけた。
「お客様です。」
「いらっしゃいませー!」
聡美が笑顔でカウンターへ通した。
サロンをつけ、水を運びメニューを渡すと、もう決まっていたのか、子供のようにキラキラした目で、
「クラブハウスサンドとメロンソーダで!」
そう言い切った。
「かしこまりました。」
ちらっと、忍に目配せすれば、笑いを堪えるように顔を背け、こくこくと頷いていた。
まだピーク前という事もあり、和やかに忍のトークが始まる。
「めぐみとは知り合いで?」
「あ、お隣さんなんです。マンションの。」
「へー、そうなのー。」
聞いてないわよ?と、いう目を笑顔で向ける忍。
「私の営業先に配達してて、ここの評判を聞いたんです。次会ったら絶対教えて貰おうって思って。会えて良かったです。」
人懐っこい笑みでニコニコ話す印象が良かったのか、いつもはめぐみの運ぶ担当なのに、聡美本人が運んでいった。
そして、極上のスマイルで、
「めぐみ、無愛想だけど、怖がらなくていいからね?仲良くしてあげて。」
「はい!」
そして、こちらも極上スマイルで返事をする彼女。
この人、本気だ。
本能的にめぐみはそう察した。
「おいしー!」
そして、それはそれは美味しそうにクラブハウスサンドを食し、周りのお客様の食欲まで刺激させた。
「また来てね。あなたがいると、売り上げ上がりそうよ。」
「嬉しいです!本当に上がったら、サービスしてくださいね。」
本当にコミュニケーション能力が高い人だなと、関心した言葉のキャッチボールだった。
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