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「良い子じゃない、あの子。」
「そうですね。」
「名前は?」
「・・・そう言えば、知りません。」
「相手は知ってたのに?」
「名乗って挨拶したので。」
「めぐみから?」
「いえ、あの人から。」
ため息をつく2人。
食器を洗いながら何故ため息をつかれるか疑問に思ったが、めぐみは考えはしなかった。
そこまで、思考回路がつながらなかったのだ。
「これも縁だし、友達になったら?」
「友達?」
そのキーワードに、思わず怪訝な声がでた。
思いもよらない自分の反応に、一瞬戸惑った。
何故か、汚されたように思えてしまったのだ。
「いえ、必要ありませんから。」
かき消すようにいつものように否定したが、伊達に長く過ごした人達ではない。
異変に気付かないわけがなかった。
「まだまだ子供ね。」
「親としては可愛いけどねー。」
「大きな子供過ぎて、手が焼けるわ。」
2人のやり取りに特に口を挟むこともなく、淡々と仕事を終わらせるめぐみ。
そんなめぐみを、聡美はテーブルに肘をついてニコニコと見つめた。
「初めて会った時からしたら、随分マイルドにはなったよね、めぐみ。」
「そう、ですかね。」
「そうよー。」
酷かったよねー。と、大袈裟に聡美が忍に問いかけると、うんうんと渋い顔で頷かれた。
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