st.2 小さなお客様

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朝6時 携帯の目覚まし時計がなる前に、ぺしぺしと柔らかいものに叩かれる感触に目が覚めた。 「あぁ、おはよう・・。」 そういえば、こいついたな。 夜中に突然訪れた猫を見つめると、入ってきた時のように網戸を引っ掻きだした。 「帰る?」 まるでそう言っているようだった。 そろっと網戸を開けてみれば、身軽に手摺りへ飛び乗りひょいひょいと姿を消した。 「頭のいい猫だな。」 感心しながらその姿を見つめ、先程まで眠っていたその子の毛布の跡をみつめる。 たった数時間なのに、何故こんなにも心がざわつくのだろう。 「あれ?網戸閉め忘れてたかな?しま、あけた?」 網戸を締めようとした時だった。隣からそんな声が聞こえたのは。 洗濯物を干すのか、ガチャガチャとハンガーの音がする。 どうやら、あの猫の飼い主は隣の住人だったらしい。 どうするか迷ったが、もしいない事に騒ぎ出しても迷惑だと思い、ベランダに出て、防火扉をノックした。 「あの、おはようございます。」 「ひゃ!?お、おはようございます。」 突然ノックされ、声を掛けられたのが相当驚いたのだろう。変な悲鳴が一瞬だけ聞こえた。 ひょこっと防火扉の近くから顔をだせば、恥ずかしそうにはにかむ彼女がいた。 「あの、しましまの猫、飼ってます?」 「あ、は、はい。」 「うちに深夜きてて、泊まっていったんです。だから、開いてたのかも、網戸。」 「え?え?す、すみません。」 まさか?!と言った顔で室内にいるらしい猫とめぐみを交互に見る彼女。 そのリアクションが、どこか聡美とかぶり、不思議と緊張感が和らいだ。 「いえ、別に。ただ心配しないようにと思って。それだけです。」 まだ仕事まで時間もあり、めぐみは再び毛布にくるまった。
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