st.2 小さなお客様

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それからしまと呼ばれるその猫は、頻繁に夜に現れるようになった。 何故ここに来るのかも分からなかったが、よほど寝床として気に入ったらしい。 開けろと合図され、開ければ毛布を踏み丸まって眠り、朝になれば時間通りに起こし、自分の部屋に帰る。 その自由奔放で身勝手な生き物の訪問を待ってる自分も生まれ、あのメモ紙を見つめる時間が増えた。 不思議としまと添い寝した後は気分がいい。 しかし、帰られると押し込んでいたはずの人恋しさが頭をだし、心を揺さぶってくるのだ。 「やっぱり、動物なんて飼うもんじゃないな。」 かと言って、追い返す事も出来ないが。 やれやれと窓際にもたれながら、休日をぼんやり過ごしていると、突然チャイムが響いた。 しかし、それはオートロックの入り口ではなく、玄関からだった。 相手を確認すれば、それは隣の女性で。 一瞬だけ出るのを戸惑ったが、猫の件もあると心を決め、扉をあけた。 「はい。」 「あの、こんにちは。」 「こんにちは。あのめぐみさん、良かったらお昼一緒にどうですか?」 「・・・・・。」 「あ、もう済ませちゃったかな?」 「いえ・・。」 理解出来なかっただけだった。 何故、私と彼女が一緒に食事をしなければいけないのか。 これだけが頭を巡ったが、聡美の言葉を思い出した。 「仲良くしてあげて。」 そういう事だろう。 「近くに美味しい店があるの。いこ?」 「・・・はい。」 オーナーの顔をたてる事も考えたら、断りきれなかった。
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