st.2 小さなお客様

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「何か、ワンコみたいで可愛いーね。」 その言葉で我に返った。 「動物好きなんですね。」 「うん。」 今だニコニコと頭をなで続ける彼女は、辞める気配がなさそうだった。 どうやら、ペット認定みたいなものをされたようだ。 「私は犬じゃありませんよ。」 「わっ!!ごめんね、つい!」 ぱっと離れた手から、すぐにその分の体温が失われた事がわかった。 慌てて差し出されたお茶をぐいっと飲んだ。 熱かった為、少し口を火傷した気もするが、気にはならなかった。 そして、しまをそろーと、ゆっくりベッドに戻し、驚かさないようにそろっと立ち上がる。 あれから色々猫の事を調べたが、猫は突然の物音や動きにびっくりしやすいらしい。 「ご馳走さまでした。」 「え?え?」 慌てて後を追いかけてきた沙樹に腕を掴まれる。 「ご、ごめんなさい。馴れ馴れしく撫でちゃって。」 「いえ、そうではなくて。」 「怒ったんでしょ?」 「苦手、なんです。人と関わるのが。聡美さんの、店の人が言ったことは気にしないでください。仲良くしなくてもいいので。」 ご馳走さまでした。 と、最後にそう伝え、部屋に戻り、急いで毛布に潜り込んだ。 その時ばかりはベッドの上で。 最後にみた彼女の悲しそうな表情を早く忘れたくて、無理矢理違うことを考え、意識を他に飛ばした。 そうでなければ、心がやけに痛んでしまうから。
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