st.1 はじまり

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やっと やっと、ここまで来たのだ。 服を脱ぎ、タンクトップ姿でベッドに倒れ込んだ。 見上げる天井には、見慣れぬ電球。 ここは、雨にも風にも困らぬ家。 誰かにみつかり、逃げることもない。 お風呂も自由に入れる。 飲み水も公園に行かなくて済む。 「・・・毛布、買いにいくか。」 そこまで回想し、現実に戻った。 ベッドとマットは揃ったが、掛け布団や毛布がなかったのだ。 バスタオルでも良かったが、枚数もそこまでない。 「贅沢になったな、私も。」 自虐的に笑いながら、脱いだシャツを再び羽織い、財布を握った。 結局軽い掛け布団と毛布を購入し、食べ物ももてる範囲かった? かさばる荷物がとても邪魔くさい。 「あの、どうぞ。」 エレベーター待ちの時にドアを開け待つ女性が声をかけてくれた。 「ありがとうございます。」 相変わらず愛想のない声ではあったが、両手も塞がっていた為お言葉に甘えたが、 降りる階も同じだった。 そして、隣の部屋の住人だと知る。 「あ、隣に越した方だったんですね。よろしくお願いします。」 ニコッと微笑む彼女は、とてもなつっこく、眩しい光が差し込んでいるようにも見えた。 「あの、ちょっとそこで待ってて貰えますか?」 「え?」 鍵をあけ、布団を玄関に投げた。 そして袋からお弁当と飲み物だし、ビールが2本入った袋を彼女に渡した。
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