st.9 過去からの解放

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「初めて・・めぐみちゃんからしてくれたね。」 これは、告白と受け取ってもいいの? 期待していい? 沙樹は逃げないように無意識に頬に添えられためぐみの手を握った。 めぐみは少し照れたように微笑み、沙樹の握られた手を広げるように開き、指を手のひらになぞった。 ゆっくり ゆっくり一文字ずつなぞられる言葉 「す」 「き」 「で」 「す」 「私も、・・私も好き。」 その返事に嬉しそうに微笑み、続きがなぞられた。 「い」 「つ」 「し」 「よ」 「に」 「な」 「ろ」 「う」 「一緒になろう?」 こくん、と頷くめぐみ。 ぱあぁっ!と自分でも分かるぐらい顔がゆるむのを感じた。 「嬉しい!!」 ぎゅうーーっ! と、思わず抱きしめた。 が、そこは怪我人のめぐみ。 「ぐっ・・・。」 彼女の鈍い声でまた暴走してしまった自分に反省だった。 慌てて謝って腕を離すと、 それでもめぐみは、嬉しそうに微笑み、沙樹の手を繋いだ。 「もう1回、キスしてくれる?」 そうお願いすれば、めぐみは手を広げた。 おいで、というように。 今度は痛くならないよう、そっと腕の中にいけば、2度目のキスは少し力強った。 やばい やばい・・ 私、今凄くしたくなってる 沙樹の性欲とは裏腹に、爽やかな笑顔をむけるめぐみ。 当分はおあずけ決定の沙樹は、その爽やかな笑顔に悩みながら微笑み返した。
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